パパのボールペン

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昔の話だけど、ゴルフに行った時、パパはお気に入りのボールペンをなくしてしまったのよ。
がっくりとまではいかないけど、液ダレしないし書き味も良かったしと、珍しく未練たっぷりに話してたらしい。
と、当時ママから聞いた。

貰いものだったらしく、ママが大切にとってあった箱を見せてくれた。

あら、ウォーターマン。

ワタクシ、ウォーターマンのボールペンには漠然と憧れていたのよね。
どんな代物かなんて知らないけれど、文房具売り場でガラスのショーケースに並べられてるのは何度も見たわ。
ウォーターマンに限らずだけど、ショーケースに入っている高級そうなボールペン、いつか自分へのご褒美に買うことを夢見ていたのよ。

うん、その前にパパに買ってあげるか。

ちょうどその頃、当時の夫のお父さんが誕生日だったので、2本買いました。
「プレゼントはボールペン1本?」
と不満げな夫に、私のウォーターマンに対する憧れを大げさに力説し、
「結構高いんだよ!」
と言ってうなずかせた。
(その中では安いやつだったけど…。)

「いいモンかどうかなんて、ウチの親父にはわかんねぇよ。」
と彼は言うけど、それはパパも同じ。
パパだって、そのボールペンがいい物かどうかなんて知らなかった。
だけど、使いやすかったから長年大切に愛用してたのよ。

彼のお父さんがボールペンを気に入ってくれたかどうかはわからないけど、ウチのパパは大喜び。

「わざわざ買ってきたのか?あー、いらんことを!」
「ボールペンなんて家にたくさん転がってるのに!」
「お母さま!お母さまがひろこに言ったんですか?余計なこと言って!」
とママにもブツクサ…。

文句言いながらも、早速書き味を試し、
「そうそう、これこれ!」
「気を使わせて悪かったねぇ。」
とご満悦。

入院した時も、手帳とそのボールペンを持っていったら、
「このボールペンがね、一番書き味がいいんだよ。」
認知症だったから、私があげたことなんて忘れてて、自慢げに話してた。

パパが死んだあとは、ママが使ってたんだけど、ママはシャープな細書きが好きで、好みのボールペンを文房具屋で買ってきて使ってたのね。
でも、何かちゃんとした書類を書くときは、パパのボールペンを使っていたわ。

そのまま、そのボールペンのことは忘れていたの。

昨日、新しいボールペンを買うには、古いボールペンを消耗していかなきゃいけないわ!と思い、自分の引き出しにあるペンを全部だしてチェックしてみた。
出ないのはもちろん、怪しい出かたの物も処分したわよ。

今日は居間に置いてあるペン立てが目に入り、
「あ〜!まだまだ使わなければいけないペンが山ほどあるわ!」
とウンザリしてたのよ。

チェック!チェック!
思い切って処分するわよ!

そうしたら、ホコリかぶった安物のペンの中から、パパのボールペンが出てきた。

ホコリをはらって、キュキュッと磨いて、書き味を試す。
「そうそう、いい感じ…。」

ご褒美が私のもとにやってきた。
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by jarakoroko | 2011-01-17 19:40 | グッズ・ファッション